自分のラベルにこだわらない成長を追い求めて。秋田高専卒ITエンジニアのキャリア選択とは



自分のラベルにこだわらない成長を追い求めて。秋田高専卒ITエンジニアのキャリア選択とは
  • 三浦 彩
  • 秋田工業高等専門学校
  • 電気情報工学科 2009年 卒業

略歴
秋田高専 電気情報工学科 2009年卒業

株式会社オプティム

株式会社ドリコム

株式会社scopes

株式会社ScopeNext



現在は株式会社ScopeNextに所属されている三浦さんですが、若くして数々の会社を渡り歩いてきました。そんな三浦さんに、高専卒エンジニアのキャリアについてお聞きしました。



したいことは「ものづくり」

- 現在は株式会社ScopeNextで働かれていますが、これまで何社も渡り歩いてきたんですよね?

はい!最初は株式会社オプティムに就職して、そこから何社か転職しています。

- 高専を卒業してそのまま就職されたのですか?

そうです。高専卒業して、アルバイトとして学生の頃から働いていたオプティムにそのまま入社しました。

- そうなんですね!そもそも、なぜ高専に入ったのでしょうか?

中学生の頃から、プログラミングとかやりたいなって考えてたんですよ。理系に進みたいなって。だから地元の高専を受けてそのまま入った形です。

- 高専に入れるってことは、進学校とかにもいける偏差値があったと思うんですけど、その選択肢は無かったんですか?

僕、勉強が嫌いなんですよね。(笑)
だからテストとかでも、要領よく点を取りたい派でした。テストの点自体には意味がないと思っていたので、変にテストのための勉強するよりも「ものづくり」をしたいと思ったんです。

- なるほど!中学生の時にはもう、自分がものづくりをしたいんだってはっきりしていたんですね。高専時代はどんな学生だったのですか?

プログラミングに興味があって高専に入ったので、プロコン(全国高専プログラミングコンテスト)に参加するための部活のようなものに入りました。2年から、学科にいるときはずっと出場していました。

- 4回出場していたんですね!

そうです。そしてそのプロコンの会場で、スポンサーとして入っていた会社の一つ、オプティムと出会いました。

- お!最初に入社した会社ですね!

そこで出会って、オプティム主催の勉強会に呼んでもらったりして参加しているうちに、アルバイトとして働くことになりました。

- 会社から目をつけられてたんですね!(笑)

そうなんですかね…?(笑)でもそこからアルバイトして、いい会社だなって思っていました。

- そこからもう就職しようって思ったんですか?

就活の時に、何社からお声をかけていただいていたのですが、オプティムの雰囲気が良くて、自分に合ってると思ったのでそのまま就職しました。高専っぽい雰囲気だったんですよね。(笑)

- いいですね~!(笑)じゃあ就活はすぐに終わったんですね!

4年生の終わり頃には就職が決まっていました。たぶんこんなに早く終わる人、珍しいですよね?

- 珍しいと思います。クラスに1人か2人しかいないと思いますよ!アルバイトとして参加している時と入社した後って、する仕事は変わりましたか?

変わりませんでした。最初はアルバイトのときの経験を活かしたQAの仕事が多くて、少しコーディングもしていたのですが、コードをもっと書きたいと思って。社長に直談判していました。(笑)

- すごいですね(笑)

社長との距離も近い会社だったのでできたことですね。(笑)そこから少しづつコーディングの仕事もこなしてという感じです。

- そこから転職されて、ドリコムに入社されるんですよね?きっかけは何だったんですか?

技術もその仕事に対する知識もついてきて、中堅リーダー的な仕事が増えてきました。ただそこで学べることって、技術というよりビジネス寄りのことが多くて学びは多かったのですが、、技術的な学びを求めて勉強会などに参加するようになり、他社の事例や他のエンジニアとの会話をしていく中で、外の世界を見てみたくなりました。
自分の技術的な成長のため自分より強い人たちがいるところに行こうと転職しました。

- プロフェッショナルな意識が強かったってことですよね?技術が好きというか。

成長欲求が強かったんですよね。
転職を考える時っていろいろ理由があると思うんです。人間関係であったり、お金であったり。僕の場合は、自分自身が成長できる環境を探していたんです。エンジニアとしてもっと成長したいっていうか。

- いわゆるジェネラリストというより、技術一本をもっと伸ばしたいという想いだったんですね!

 

成長とともに変わってきた意識

- そこからドリコムに転職して、どういったお仕事をされていたんですか?

ゲームのサーバーサイドの開発や運用をしていました。あと仕事以外で言うと、RubyKaigiなどのカンファレンスに登壇したりもしていました。

- 技術を磨いていたって感じですよね!!そこからまた転職をされて…

scopesという会社では、CTOをしていました。ウェブサービスとかゲームをつくったりしていました。オルトプラスではサーバー開発のほか部長職もしていましたね。

- 最初の転職では、「技術一本でいく」みたいなイメージでしたが、徐々にジェネラリスト的な働き方に変わっていっていませんか?

そうですね。

- それは自分の中でなにか変化があったのでしょうか?

徐々に思考が変わってきたということはあります。。働いているうちに、自分は技術が好きなのではなく、問題解決をすることが好きということが解って、IT技術だけで問題を解決するのは、大きな壁があるなって思ったんですよ。価値を生み出すなら、技術ももちろんだけど、ほかの面を増やしていかなきゃなって思って。

- その変化のきっかけは…?

僕の場合、ものづくりをして価値を生み出したいと思っていたんです。その時点で、プログラミングは道具で。自分の時間は1日24時間しかなくて、1日あたりの生産性を考えると自分だけではできないことのほうが多い。でもそこでガッツを出して、最大効率で行けばいい!と思っていたのですが、限界が来るぞと諭してもらったんです。(笑)
そう言われてから、大きな問題にぶつかったとき、より価値を生み出すためにスケールしていくには?と考えていたら、2~3年で思考が変わっていったんです。

- なるほど。ビジネスの知識が必要になってくるぞ、と。

ドリコムにいたときの後半に、育成では自分自身のコピーは作れないなと思って。そこで限られた時間や人員で新しい案件をこなしていくためには、と考えたときに、これは技術に固執している場合じゃないぞと思ったんです。

- そうですよね。技術一本で行けるのって一部のとがりまくった人ですもんね。そこからいろんな役職を経験するようになったということですか?

いろいろしました。PMもしましたし、ディレクターも、アーキテクトっぽいこともしました。でもそこに、職のラベルとしてのこだわりはないんですよね。

- 職のラベルですか。

自分はCTOを経験しているんですが、そういった後のキャリアって難しいじゃないですか。

- 確かに、CTOから次のキャリアと考えると…

でもその「CTO」ってラベルにとらわれると、チャレンジしにくくなるんですよね。例えば「エンジニア」というラベルがあるとしても、ほかのいろんなことに目を向ければ、チャレンジできるじゃないですか。たぶんそっちの方が楽しいと思いますし。

- 確かに…!職のラベルにこだわらないのは大事かもしれませんね!

僕もビジネスの分かるエンジニアの価値を重視しているので、エンジニアのみんなにはぜひビジネス面にも挑戦してほしいですね!

- ラベルにこだわらずに成長を追い求めているとのことですが、これからのキャリアをどうするかとかって考えていますか?

やれることの幅を広げていきたいと思っています。時代の流れを見て、また技術を伸ばす必要があるのかどうか。まだ見極められていませんが、スタンスは変えずにいきたいです。広く、自分の成長を求めていきたいと思っています。

- ITの技術って、3年後には通用しなくなっていたりしますもんね。

そうです。ITは一生勉強ですね。

 

高専生よ、もっと外に出ろ

- これまでの経験を踏まえて、もし高専生に戻るとしたら、何をしたいとかありますか?

当時、地方コンプレックスがあったんですよね。東京の人は、頻繁に開催される勉強会にすぐ参加できるし、いろんな人に会える。なのに自分は秋田にいるので、ちょっと東京に出るだけでもお金がかかるから、あまり生活圏の外に出られなかったなって思います。だからもっと外の世界に出て刺激を受けたいと思いますね。

- 今はTwitterとかもありますし、すぐ遠くの人とつながれますよね。

学生時代はまだTwitterが流行り始めって感じで、なかなか活用できませんでしたね。
あと、自分が打ち込めることをするべきだと思います。僕の場合、プロコンに打ち込んでいましたが、もうちょっと熱量注げる何かがあれば何か違ったかなとは思います。

- 何かにうちこめる青春、大事ですよね。今の学生に伝えたいことはありますか?

つまらないことでも、どうやったら楽しくなるのか考えてみる。そうすれば嫌なレポートとかも楽しくなるんじゃないかなって思います。そういう意識って大事になってくると思うんですよね。

- ありがとうございました!

執筆:若林拓海(高専マガジン)