略歴
富山商船高専 国際流通学科 2009年卒業
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神戸大学 経営学部 2012年卒業
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シナジーマーケティング
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Ginzamarkets
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セールスフォース・ドットコム(2019年7月現在)
高専の中でも珍しい国際流通学科を卒業した小松さん。マイノリティの中でもさらに少数派の進路を選んだのは、中学時代に行った海外での経験が大きかった。高専時代は語学や経営を中心に学び、大学へ進学。途中挫折を経験するも、身につけたスキルを活かし、外資系企業で挑戦を続けている。
あえてマイノリティで自由な環境を求めた学生時代
- 高専に進学することも珍しいですが、その中でもいわゆる工学系(高専)ではない国際流通学科に行こうと思ったのはなぜでしょう?
中学時代にシンガポールへ短期留学する機会があり、そこから海外に興味を持ちました。漠然と、英語に関わる進路もありだなと。また、もともとマイノリティ気質なところがあって。高校は普通科に行きたくない、もっと実践的なことが学べる環境に行きたいと思っていたんです。そんなときに出会ったのが富山商船高専の国際流通学科(現富山高専国際ビジネス学科)でした。「中国や韓国、ロシアとの貿易が盛んな環日本海地域の特性を生かして世界で活躍するビジネスパーソンを育成する」という点に共感し、入学を決めました。
- 国際流通学科ではどんなことを学びましたか?
「海外」が一つのテーマなので、まずは英語。それから第二外国語で中国語を学びました。また、ビジネス学科なので、簿記、経理、3年生以降は経営や物流、マーケティングなどを中心に、日本史なども勉強しつつ、留学も経験しました。高専というと工学系のイメージがありますが、工学系の勉強はほぼしていません。
- 高専時代にも留学したんですね。
4年生のときに半年間、カナダに語学留学をしました。ホームステイで他国の人たちと一緒に学んだのですが、おそらくあのときが人生で一番勉強したと思います(笑)。留学前はどちらかというと中国語をメインに勉強していましたが、カナダ生活では英語を必死に学びました。苦労もありましたが、おかげで今は業務上問題なく英語が使えていますし、人生の選択肢が広がったと思います。
- 高専生活で何か印象に残っていることはありますか?
5年生のときに、富山県の地元企業と共同で商品開発をしたことです。2~3カ月かけて学生目線で企画のアイデア出しから商品開発までを経験し、地域のスイーツ屋さんと一緒に富山県のエッセンスを入れた味の商品を販売しました。高専は基本的に何でもやっていいという自由な雰囲気があるので、自然と主体性が身につきます。また先生方も協力的なので、アクションを起こした分、助けてくれる人が周りにいる環境はとても良かったですね。
- ちなみに、ゼミや卒業研究はどんなことを?
ゼミでは、社会科学系の論文の構成を学ぶために課題図書を輪読し、サマライズするということを行っていました。卒研のテーマは「優秀な人材を惹きつける企業の特徴」という組織に関する内容でした。半年から一年かけて卒論を書いたのですが、卒研を通じて、ロジカルな文章を作ることを学びました。
- 卒業後は神戸大学に編入したんですね。
国際流通学科から数名編入実績がある経営学部に行きました。試験科目は、英語と経営学の2科目です。うちの学科の就職先は文系だと地元企業の一般職が多く、総合職になるためには大学にいきなさい、と進路指導をうけていました。
- どんな大学生活でしたか?
実は大学に編入してから引きこもりがちになって……。というのも、想像していたよりも周りには優秀な学生が多かったんです。高専生の特徴かもしれませんが、高専生をこじらせすぎると大学生が敵に見えてくるんですよね……。実際、大学生に負けないぞというノリでいっていたら、大学生と自分を比較したときに自分はまだまだだと思う時期がありました。さらに追い打ちをかけるように、大学3年生の夏に東京で参加した教育系企業のインターンでは新規事業の立案などで自分が思っていた以上に使い物にならなくて、悔しい思いをしたんです。結局、1年留年して3年間大学に通いました。
- 就職活動の年は、ちょうど東日本大震災のときだったんですよね。どんな思いで活動をしたのですか?
右へ倣えをしなくていい、そんな組織で働きたいと思っていました。大学4年の4月にグローバル・ビジネス・ケース・コンペティションへ参加する機会があって、就活の時期に日本にいることができませんでした。その結果、大手企業の面接が受けられなくなってしまい、若干フラフラしていたときに、ゼミの先輩(その後入社するシナジーマーケティングの社長)に相談させていただいたことがきっかけで、ご縁があって就職を決めました。
インターネットマーケティング × 営業の世界へ
- シナジーマーケティングに入社してどうでしたか?
入社したのが、上場して少したったタイミングでした。東京支社に配属され、営業を行っていましたが、かなり激しめに働きましたね。当時は人数が少なく、アットホームな雰囲気ではあり、短期間で先輩方から色んな基礎を学びました。結果として1年9カ月で退職しましたが、営業職として今のキャリアの道筋を開いてくれたので、感謝しています。
- その後、Ginzamarkets(元DemandSphere株式会社)に移ったんですね。
SEOツール「Ginzametrics」の営業を担当しました。グローバルで10名ほどのチームで、働き方は基本的にはリモート。オフラインのミーティングは週に1回で、あとは自由。裁量が大きく、社外のコミュニティも運営し、やりがいもありました。2年9カ月在籍したのち、新しい領域の勉強がしたいと思い、転職しました。
- 今はどんなことを?
イスラエルで創業されたマーケティングインテリジェンスを提供するDatoramaで営業をしています。日本支社は入社時7名だったのが、2年くらい経ち現在は20名程度まで拡大しました。2018年8月にはセールスフォース・ドットコム(Salesforce)に加わり、日本支社だけでも数百名単位でセールスをしつつ、事業統合中の様々な変化を楽しんでいます。
学生へのメッセージ
- 最後に、いま振り返ってみて「高専」とは?
高専は、とにかく自由で実践的であるところが良かったです。また大学と比べると、大学は教授と一定の距離がありますが、高専は一緒に遊べる先輩のような距離感でした。まあ、教授によるかもしれませんけどね(笑)。やりたいことを応援してくれる環境だったので、もし在学生にメッセージを送るとしたら「自分の可能性を型にはめずに、面白いと思うことにどんどんトライしていったらいいよ」と言いたいですね。高専は失敗してもOK。失敗してもバックアッププランがたくさんあるので、たくさん挑戦していいと思います。高専生で営業や事業開発などビジネスサイドの仕事、また外資系での業務に興味があれば、いつでも相談にのりますので、お気軽にご連絡ください。
ー 素敵なコメントありがとうございます!
こちらこそ、ありがとうございました!
編集後記
高専にビジネス系の学科があることを知らない高専卒の人も多いのではないでしょうか。実は私もそうで、知っていたら入りたかったと思うほどでした。小松さんのような進路もあるのだと、同じような選考を望む方のロールモデルとして希望があるお話が聞けました。 ありがとうございました!
取材・文:上口 翔子( Facebookアカウント)